AIやその将来について興味ある人は絶対読んだ方がいい本です!
もっと早く読んでおけばよかったなぁ〰
AIに関する本ってそれまであんまり読みませんでした。
正確に言うと前はよく読んでいたのですが、最近読むのをやめていました。
なぜ、最近まで読むのをやめていたかというと、かつて読んだ本はちっとも私のAIに関する疑問に答えてくれていなかったからです。
その疑問とは
- AI(汎用人工知能)はヒトを越えられるのか?
- シンギュラリティは起こるのか?
- AIはヒトの仕事を奪うのか?
という3つです。
多くのAI本では、3つの疑問の答えはすべて「YES」なのですが、その根拠が薄弱でした。
「有名なxxx博士が2030年までにシンギュラリティは起こると言ったから」
とか
「将棋も囲碁もヒトに勝てたのだからAIに知性が宿っても不思議でない」
とか....
ホントに科学者かよ...
とつぶやきたくなるような本ばかりだったので関心を失ったのです。
ところが新井氏の本は私の3つの疑問に明確に回答を与えてくれ、すっごく「スッキリ」したのでした。
この本に触れるきっかけとなったのは今月のAIを特集するNHK番組でソフトバンク・孫社長にくってかかるイキのいい女性科学者が出演していたのを見て興味をもったのです(笑)。
その科学者こそが新井紀子氏なのでした。
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先ほどの私の疑問の結論を言うと、疑問点の1,2はNoで3はYesです。
将棋AIとか細胞診AIとかなど単機能型AIはこれからもどんどん進化し続け、ヒトの仕事を奪っていくことは間違いありません。
しかし、ヒトの知性と同様またはそれを超える汎用型AIは私たちや私たちの子供たちが生きている間に実現されることはありません、というのが新井氏の見解です。
なぜならば、コンピュータ上に実装されたAIは数学で表現できる世界を認識することができますが、逆を言えば数学で表現できないことは全く認識することはできません。
たとえそれがスーパーコンピューターであっても量子コンピュータであっても同じです。
それで、数学で表現できる世界は何かというと次の3つのみなのです。
- 論理(AはBである。BはCである。よってAはCである)
- 確率
- 統計
あたりまえですが、われわれの取り巻く世界は上の3つだけで表現できる世界ではありません。
「太郎は花子が好きです」
という文章があったとき、私たちはそれを正確に理解することができます。
しかしこれを文をAIが理解することはできません。
なぜならば、この文を理解するためには、「太郎は男である」、「花子は女である」
「男とはxxxである」
「男とオスの違いはxxxである」
「太郎と花子は日本人である」
etc…
といった”背後にある文脈”を認識している必要があり、それは「数学」では表現できません。
それではなぜ、Google翻訳やYahoo翻訳を使うと
Taro loves Hanako.
と訳せるのかという疑問が生じます。文脈を理解しているから訳せるのではないかと...
しかし、違います。
「太郎は花子を愛している」といった文書を与えられたとき、正しく訳することができる教師データを学んでいるか、あるいは「統計的(数学的)に正しい、と考えられる訳をビッグデータから抽出しているだけで、”背後にある文脈”を理解しているわけではないのです。
この”背後にある文脈”を理解する能力こそが、新井氏が作中で「読解力」と呼んでいるAIとヒトを分ける絶対的な差異なのです。
ここまでが前半のネタバレなのですが、後半については日本の教育とAI得意分野の類似性、AIに奪われた労働をどうシフトしていくのかという問題につきすすんでいきます。
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