私はハードモノクロームと呼ばれるコントラストの高いモノクロームが大好きです。
X-T10ではこの効果が搭載されていないので添付の現像ソフトRAW FILE CONVERTERにSilkypixのサイトからダウンロードしたテイストをインポートして使っています。
私はハードモノクロームと呼んでいますが、メーカーによってはダイナミックモノクローム、ラフモノクロームと呼んでいるようです。
今回はこのハードモノクロームを使う意味について書いてみようと思います。
結論から先に書けば
ハードモノクロームを利用するということは、写真の情報量を劣化させることにより、被写体を浮かび上がらせること
だと考えています。
まず、情報量の劣化という点ですが、通常のカラー現像したときとハードモノクローム現像したときのファイルサイズの違いを見るとよくわかります。
あるファイルを現像してみると...
- RAWファイルサイズ → 32.2M
- Proviaカラーで現像したファイルサイズ → 11.4M
- モノクロームで現像したファイルサイズ → 6.54M
- ハードモノクロームで現像さいたファイルサイズ → 6.26M
モノクロームにした段階でカラー情報が抜けるのでサイズはカラーの半分くらいになり、ハードモノクロームでグラディエーションなどが抜けるのでさらに小さくなります。まぁ、これはあたりまえですね。
次は「被写体を浮かび上がらせる」という点について例をあげて説明します。
フォトジェニックな路地にも関わらず、なんとなく散漫に感じられるのは写り込む物体、光が多すぎるからです。
おじさん、けむり、斜めの光、店の奥にぼんやり映りこむ人、赤いビールケース、看板、黄色い柵...
つまり情報量が多すぎ、しかも画面中に分散しているので見たときにどこにフォーカスして理解すればよいのかわからないのです。
色成分が抜けて、視点が左のおじさんに寄ってくると思います。でも凡庸ですね。
この効果を適用すると、この写真の被写体はおじさん、煙、強い斜光の3点に集約されます。
ハードモノクロームと呼ばれる手法が印象的なのは写真上の被写体が整理される効果があるためだと考えられます。
さて、どういった時にこの効果を使うのがいいのでしょうか?
私の場合、撮る前からハードモノクロームで撮ると、こうなると計算できることは少なく、やってみたらよかった!というケースが大半です。
ただ、経験上
- 古くてごちゃごちゃした町並み
- 逆光で印象的に撮りたいとき
にハードモノクロームがぴったりはまることが多いと思います。
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