吉祥寺美術館のこの展覧会は、最初何の興味もひきませんでした。しかし、最初の期待値と見た後の感動のギャップがこれほど大きい展覧会は珍しいと思いました。絵や彫刻に少しでも興味がある人はぜひとも見に行くことをお勧めします。
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最初、駅前でこの展のポスターを見たとき、「鏝」という字すら読めませんでした(笑)。「うなぎ」と読んでしまいました。うなぎえ・・・・なんじゃこれ?という認識で正しく「こて」と読めるようになったのは、たまたま土曜日にやっていたNHKの番組を見たからなのでした。
出雲地方には、蔵などの漆喰に絵を描く習慣があるのですが、最近漆喰師が少なくなり、この伝統が廃れつつあるという内容の番組でした。漆喰師たちが漆喰で描いた絵のことを鏝絵(こてえ)と呼ぶのでそうです。
この番組を見て、やっと吉祥寺美術館でやっているのはこれなんだと思い、見に行く気分になったのでした。
入館料を払うまでは、はっきり言って暇つぶしのつもりでした。
だって、漆喰ですよ。建築材料ですよ。今でいうコンクリですよ。
そんなもので書いた絵が芸術なんて言われたって全然ピンときません。
ところが!
今回の展は、幕末明治の天才鏝絵師・伊豆の長八の作品を展示するものなのですが、実際、すごかったのです。
あの漆喰で、
あの鏝で、
どうやって龍の立体的な絵が描けるのだろうか?
どうやって彫刻のような人物像ができるのだろうか?
漆喰にどうやって鮮やかに彩色できるのだろうか?
漆喰ってすぐボロボロに崩れないの?
漆喰なのに筆で描いたような繊細な絵が描けるのはなぜ?
展示品の写真を掲載できないのが残念なのですが、実際に見ていただくよりほかありません。本当にびっくりします。
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↓これは長八の作品ではありません。鏝絵の制作過程を説明するものです
また、たまたま伊豆を旅したつげ義春が、長八の作品がある旅館に泊まりいたく感銘をうけたというエピソードも紹介されています。
18日(日)までなのでぜひともお忘れなく!
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