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経済学の専門書ながら世界中でベストセラーになった
「21世紀の資本」。
最近はあまり見なくなりましたが春ごろまではどの書店でも平積みされていましたね。

私はその厚さに圧倒され(値段にも)、結局読みませんでした。
(あれ?記事タイトルと違う)

ただ、内容は解説本やマスコミに報道されており原典を読んでない私にも

r > g

という式がピケティ理論の中核ということはボンヤリとわかります。
しかし、私が興味を持ったのは、ピケティが明らかにした数多くのことの中で、わたしたち零細個人投資家にとって参考にすべき点があるかどうかでした。

彼が300年にもわたる各国の税務データから導き出した式

r (資本収益率)>  g(経済成長率)

これをすっごく俗っぽく言ってしまうと、

r というのは預金や貸付、不動産から得られる不労所得、
gは額に汗して働いて得られた報酬

と厳密には違うのかもしれませんが、そんな理解をしています。
ただ、これって実感としてわかりやすいと思います。

  • 農家より地主のほうが金持ち、
  • 工場主より銀行のほうが金持ち....

そんなイメージで理解していますが、なんだかあたりまえで、いまさら感があります。

一方、私は金満になるために次のような前提でポートフォリオを考えています。

  • A. 世界経済の中心は徐々に欧米からアジアに移動しつつある
  • B. 世界経済は凸凹があるにせよ、長期的には右肩上がりである
  • C. トレンドはA,B だけども当然リスクはある

このような前提は投資する人にとってごく一般的で、アジア株・投信の比率を増やしてみたり、株価の上下に一喜一憂せずに長期保有を考えている人は多いのではないでしょうか。

私が一番興味があるのは上記A, B, Cについてピケティはどんなデータを提示しているかということでした。

そんなことがわかるいい本がないかな、と思っていたらありました。

高橋洋一著 
図解 ピケティ入門
たった21枚の図で「21世紀の資本」は読める!

この本は本家ピクティ本に掲載されているグラフを丁寧に解説しており、そのグラフからピクティの考え方を説明している良本です。

A についてなのですが、これは多くの人が語っているとおりで、1950年代、世界の富(GDP)の7割は欧米が算出。その後はアジア、アフリカのキャッチアップが続き今世紀末にはこの地域の一人当たりのGDPは欧米と肩を並べる予測がされています。
つまり、長期的にアジア地域に投資していくのは正しい選択だということになります。

次にB についてです。
21世紀末には世界のGDP成長率は1.5%程度になると予測しています。アジア、アフリカ地域が欧米の水準と肩を並べると同時に成長率は緩やかになっていきます。世界全体の水準が均一になっていくイメージなのだと思います。
回答としては世界全体は長期的に成長していくが、その成長率は徐々に緩やかになっていくということになります。

最後にC なのですが、ピケティは少し突っ込んだ話をしています。
所得格差について先進国の中でアングロサクソン諸国と非アングロサクソン諸国で大きな違いが見られるといいます。
所得格差は各国のGDPに占めるトップ1%の国民の所得比率で表現しています。
この数字が大きければ大きいほど所得格差が大きいということになります。
2010年の米国は16%、英国は14%と高めですが、ドイツは11%、日本とフランスは9%前後で、アングロサクソン諸国より格差は少ない傾向がみられます。
アメリカの大企業の経営者が桁違いな報酬を得ているのはマスコミで報じられているのでこのデータに違和感はないと思います。
ところが問題はこれから豊かになっていくであろうアジア、南米などがそろってアングロサクソン諸国と同じような所得格差の傾向を示している点です。
英米は先進国として社会のセーフティネットがある程度整えられており、格差に対して強度がありますが、新興国で格差が開いていくとどうなっていくのでしょうか?
長くなりましたが、これから成長するであろう新興国の格差は先進国以上に深刻で政情や経済の不安をひきおこす可能性がリスクだと考えました。

ながながと書きましたが、結論としては前述した投資の前提(A, B, C)を大きく変える必要はないのかな、と思っています。

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