先日、勤務先がやっている確定拠出年金の資産残高報告が送られてきました。
企業型の確定拠出年金をやっている人が2012年で440万人もいるそうです。
しかし確定拠出年金に入っていてもそれを意識している人は少ないように思います。
自分の勤務先でも、
- そういえばはいっているよね
- 一度も年金管理運用会社のWebにアクセスしたことがない
- パスワードわすれちゃったよ。
なんて人がほとんどです。
現在、景気はゆるやかに上昇していますので、資産配分を意識して運用している人と、何も考えていない人では将来の年金受取額に大きな差がでるはずです。
まずは、確定拠出年金って何?ってところから解説していきます。
従来の年金は確定給付年金といって、将来の受取額が決まっており、それに応じて掛け金が決まってきます。
確定拠出年金は掛け金が決まっていて、将来の受取額は未定という年金です。
確定拠出年金が登場した背景は、長く景気低迷、デフレが続き、資産運用が低迷し、政府や企業が国民に約束した支払いをする確定給付年金を維持するのが難しくなってきた点があげられます。
すなわち、
もう政府は給付額を保証することはできなくなってしまいました。
国民の皆さん、自己責任で年金を運用してください。そのかわり、政府は年金運用の仕組みや税制上の恩恵などを提供します。
というのが確定拠出年金なのです。
私はこの制度はこの国がもう高度成長を続けることができなくなったことに対する苦渋の策だと思うのですが、自分でうまく運用することができるなら大きなチャンスをつかむことができるかもしれないと前向きに考えています。
この制度のメリットとしては
- 企業が提供する上限55,000円/月までは給与所得とみなされない
- 運用益は非課税
- 自分で運用方針を決められる
- 損益がすぐわかる
- 転職しても無駄にならない
デメリットとしては
- リスクは自身が負う。もちろん元本割れリスクもあり
- 年金なので原則60歳まではおろせない
さて、加入者が運用方針を決めるわけですが、通常プランの提供者側(企業)は数本の金融商品を選択肢として提供し、加入者は金融商品を選び金額を割り振り運用していきます。
オプションとしては3カテゴリーの金融商品が提示されます。
- A. 元本確保型( 定期預金など。利息は限りなく0に近い)
- B. ミドルリスク・ミドルリターン(債券型投信など)
- C. ハイリスク・ハイリターン(株式型投信など)
毎月、企業から提供されるお金をどういう配分で上の3つに配分するかは年齢や人生設計によってかわってきます。
たとえば定年が近いような人であればリスクの低いAの配分を多めにし、やり直しがきく若い人であればB, Cを中心に配分するなどが一般的な考え方です。
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ここまでが確定拠出年金の一般的な解説なのですが、ここから先が資産残高表を見て驚いたことを書きます。
この報告書にはプランに参加している人たちの運用成績がのっています。どれだけの人数がどれだけの利回りで運用しているかわかるグラフが載っているのです。これは公表できないのでデフォルメした手書きグラフをのせます。
このグラフは正規分布に従うはずなので通常は↓のようになるはずです。
学生の模擬試験の成績表みたいですね。
ところが、実際には驚くべきことに↓のようになっているのです。
特徴はふたつあります。
ひとつは利回りが0%より少ない人がほぼいない点です。
これは景気が世界的に回復基調にあり、どんな金融商品を買っても利回りがでるという状態を意味します。こうした状態は長く続かないでしょう。
ふたつめはグラフが完全なふたこぶラクダになっている点です。左の山は表現上0%より右に寄っていますが、イコール0%と考えてください。そして、右の山は10%前後の利回りをたたき出している一団がいることをしめしています。
そして10%集団の人数は0%集団のおよそ1/6程度しかいません。
ここから先は私の予想なのですが、0%集団のほとんどの人は確定拠出年金に加入してから一度も運用指示をしていない人だと思います。何も指示をしないとお金が自動的に利回りが0%の定期預金型に配分されるからです。
逆に10%集団はそれなりに配分を考えて運用している人たちだと考えられます。
0%でも元本が確保されていればいいや、と考えるのはとても危険です。
仮に10%集団が今後100万円を同じ利回りで複利運用できたら7年で資金が2倍になります。さらに7年たつと2倍になり、14年で400万円を手にすることができます。しかし、0%集団は100万円のままです。
さらに政府は財政再建のためにインフレ誘導しています。金利が0ということはインフレがすすめば実質目減りということなります。
さあ、勝ち組10%集団にはいるか、負け組0%集団にはいるか、あなたはどうしますか?
* この記事は企業型の確定拠出年金について記載していますが、個人型の確定拠出年金もあります。金融機関に相談してみてください。
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One thought on “金満おやぢ・確定拠出年金をやっている人は必ず資産残高を確認しよう!”