





本屋で見つけた
- 小学館新書 滝田誠一郎 「消せるボールペン」30年の開発物語
即買いして、その日のうちに読みきってしまった。
8年間にワールドワイドで10億本売れたと言われるパイロットインキの「フリクションボール」開発の奮闘記です。
ボクも3本使っていて、そのメカニズムや開発の背景に興味をもっていたので即買いしたのでした。
開発者のインタビューやら擦ると消えるメカニズムやら開発史などが満載の本なのですが、この本で知って驚いたのが2点
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まず、タイトルにありますけど、擦ると消えるメカニズムの発見から商品化まで30年もかかっています。
ふつうの会社ならあきらめるでしょ....すごいなこの執念。パイロットって会社を心から尊敬してしまいました。
もう一点は、30年前に基礎技術はできていましたが、最初から消せるボールペンを作ろうと思ったわけでなく、フランスの法人社長の鶴の一声で、消せるインクを使ってボールペン開発が始まったということでした。
当初は玩具(たとえばお湯が入ると画が浮き出るカップなど)などに応用された技術で、ボールペンへの応用は誰も考えていなかったとのことでした。
ドイツなどでは、学校でインクを使った筆記具を使う習慣があり、消せるボールペンがあれば絶対売れるとその人が考えたことが開発の発端だったらしい。
すばらしいアイディアも、いろんな人の知恵がないと最終的な製品にならないといういい例だと思いました。
それと話はズレるのですが、最近、日本の産業競争力が衰えたと言われています。
熾烈な競争で世界一を走る自動車産業やカメラなどの光学技術、すでに海外に追い抜かれてしまった半導体産業などいろいろあります。
でも文具の分野で日本はぶっちぎりです。
諸外国と比べて20年から30年は先をいっているんじゃないでしょうか?
この本を読んであらためてそう感じたのでした。
* 2015年4月4日 「ねりうま写真生活」記事より転載





