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連休最終日、姪っ子が今春新卒入社した会社の研修が終わり、配属先の関西に行くというので東京にいる親戚で壮行会をしました。

今の大学生の就職活動はとても激戦で名の知れた有名な企業に入社するのはとても大変なことのようです。
私は25年前に就職活動をしたときはまだバブル景気が続いており、典型的な売り手市場。
姪っ子が言う「有名企業」にも労せずして入社できた時代でした。

今回は当時と比較しながら、そして就活から25年が過ぎたおぢさんの経験をふまえながら、今後就活する人たちのために、就職する会社を選択する上での2つのポイント書き出そうと思います。

■ その会社は魚のいる池で釣りをしているか?

25年前、私の友人たちは名だたる有名企業にたくさん入っていきました。
今になって同窓会やなんやんらで連絡をとりあうことが多くなったのですが、話をきくかぎり、当時名の知れた会社に入ったからといって期待通りの会社員生活を送っているかというと必ずしもそうではありません。
当時20行近くあった都市銀行は3グループに集約されてしまいました。25年前、銀行に勤めれば一生安泰であるといわれていました。
世界的に巨大なマーケットシェアを握っていた家電メーカーは凋落してしまいました。
ソニーの連続赤字、三洋電機消滅、シャープ減資などは記憶に新しいところです。
また江戸時代からの歴史を誇る名門百貨店も業界再編の波に呑まれています。
バブル崩壊と同時に日本に起こったショックは生産人口の減少でした。このトレンドは今後も続き、あと30年で人口が20%以上減少すると言われています。

会社は売り上げや収益を向上させるために、社員の質をあげる、販売プロセスを最適化するなどの努力を行うのが普通です。
日本企業の衰退について多くの経済学者や経営コンサルタントがこの観点で議論しています。
しかし、中にいたものとして、振り返ってみるとこの25年間は、私を含めた多くの会社員が懸命に努力はしたものの構造の変化があまりにも大きく抗することができなかったというのが実感です。

釣りをするときのことを考えてみてください。
どんなに優れた道具をそろえ、腕を磨いても目の前の池に魚がいなかれば釣果はあがりません。また、多少魚がいてもそれを追う釣り人の数が多ければ釣果には限界があります。

再び就職活動に目をやった場合に、教訓として考えられるのが、その企業が十分な漁場をもっているかどうかです。
その企業のメインターゲットが縮小する国内市場であれば将来の成長は厳しいでしょう。
ただ、国内であっても相対的に拡大が想定される市場、たとえば高齢者向けの商品、サービスなどを扱っていれば十分な漁場といっていいと思います。

その企業が今、どんなに人気があり親や友人に胸をはって自慢できるところであっても十分な漁場を持っていない企業を選んではいけません。
5年もしないうちに就職人気ランキングから外れ、リストラの嵐が吹くことが目に見えています。

■ その会社はあなたにどれだけの報酬を与える可能性があるか?

長く勤務することを考えた場合、どれだけの収入があるかは一番気になる点でしょう。
多くの企業は従業員の平均年収を公開していますが、この数字は現時点でのすべての職種、すべての年齢の年収を合算して従業員数で割ったおおざっぱな数字であり、これから就職することを考えた場合に最も気になる将来にわたる従業員への支払い能力を知るための指針にはなりません。

みなさんは企業の決算報告を見たことがありますか?
就職活動をしているのであれば売り上げ高や営業利益の推移などはざっと見ていると思いますが、ここで注目するのは純利益と従業員数です。
純利益はその会社が自由にできる最終的な数字です。
この数字は”経営者がやろうと思えば”すべて従業員に還元可能な金額と置き換えることができます。この数字を従業員数で割れば、従業員一人当たり年間稼ぐことのできる純利益額を出すことができます。ウィキペディアを調べて一度割り算をすればすぐに算出できます。

純利益 / 従業員数 = 一人当たりの純利益

公開されている従業員平均年収にこの数字を足せば、入社後あなたが期待できる収入の最大値を出すことができます。

平均年収 + 一人当たりの純利益 = 得る可能性のある給料

もちろん、ここで算出された数字がそのまま従業員に還元されるわけではありません。というかほぼないでしょう。
しかし、従業員あたりの純利益を見ることにより複数の企業間のポテンシャルの差をみることができます。

とある人気企業の数値を計算したところ、従業員一人当たりの純利益はわずか30万円でした。
この企業は過去数年にわたりこの水準だったので、従業員が大幅なベアを期待するのは難しいでしょう。
ためしに今をときめくアップルやグーグルを見てください。
これらの企業の従業員一人当たりの純利益は数千万に達しており、従業員への配分余力は桁外れといえるでしょう。
もちろんそれが遠い将来まで続くとは保障できませんが。
有名企業でなくてもこの純利益/従業員数が優れている会社はたくさんあります。
そういったところはあなたにとって磨けば光るダイヤモンドの原石かもしれません。電卓を手に計算してみてください。

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他にも就職活動に役立つ係数があるかもしれません。
大切なことは企業を選択するにあたり、与えられた情報だけで判断しないこと。
じぶんなり工夫を加えた判断で主体的に選択してしていくことだと思います。
就活は企業があなたを選ぶことではなく、あなたが企業を選ぶことなのです。

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