文具おやぢ・ペリカンM800はなぜ柔らくてヌラヌラなのか?

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ゴールデンウィークにペリカンのM805 ヴァイブラントブルーを購入しました。M800ベースで模様がマーブル・ブルーの限定品です。半月あまり使ってみて、よく言われるようにペリカンはペン先が柔らかくてフローが潤沢で抜群の使い心地だと実感しました。

今回は万年筆の原理を考えながらペリカンM800の書き味の特徴をレビューしてみたいと思います。




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まず全体感なのですが、ボディがでかい...
ペリカンのスーベレーンシリーズはボディの小さい方から M300, M400, M600, M800, M1000 とラインナップされていてそのモデルが何百番台かでどんな大きさがわかるようになっています。

M1000になるとまさに「筆」...相当でかいのです。
私が今回購入したM800は1000に次ぐものですからやや大きめのボディで今まで購入した万年筆の中では最大でした。
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そして、実際にインクを入れて使ってみるとペン先がやわらかく、インクがヌラヌラでとても書きやすいのです。

なぜこんな書き味なのか、構造面から考えてみたいと思います。
まず、万年筆の原理から解説します。ここがわかると実際に書かなくても万年筆の書き味が予想できるようになります(とはいっても試筆するのが一番です)。

万年筆の最重要パーツは2つあります。ひとつはペン先、これは誰でもご存知でしょう。ペン先の先端のペンポイントからインクが染み出し、紙にインクが乗るのですから。

もう一つはペン芯と呼ばれる部品で万年筆の心臓とも言えるパーツでペン先の裏側にはりつけられている蛇腹状のプラスチックです。

ペリカンM800はペン先とペン芯に他社の万年筆と違った大きな特徴があります。

万年筆の原理に話を戻しましょう。

インクフローに影響するペン芯の役割

ペン芯はペン先に毛細管現象でタンクからインクをペン先に運ぶ役割をおいます。
そのため、ペン芯にはインクを導くインク管があります。また、インクタンクはインクが出た分だけ空気を入れないとスムースにインクが流れるようになりませんから、空気を入れるための空気管が掘ってあります。
すなわちペン芯には2本の管が掘ってあるのです。
インクタンク内部の気圧と外気圧の差はインクフローに大きな影響を与えます。例えば飛行機に乗ると、外気圧は下がるのに、インクタンク内の気圧は地上と同じなため、インクが過剰に外に吸いだされいわゆるボタ落ち現象が発生してしまいます。
ペン先に過剰なインクがいかないようダムのようにインクを蓄える役割をするのがペン芯の蛇腹部分になります。



↓ペン芯の蛇腹が大きくかなり存在感があります。
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書き味を決めるペン先の形状

次に書き味に影響を与えるのがペン先の材質と形状です。より影響するのは材質のほうで、ペン先が金の方が圧倒的に柔らかく感じます。ペリカンのペン先は18金です。
また、一般にペン先が大きく湾曲が小さいと柔らかく、反対に小さく湾曲が大きいほど固い書き味になります。
これは、ボール紙を考えてみるとわかりますいです。ペラ一枚の平たんなボール紙は簡単に曲がります。しかし湾曲させたボール紙は容易に曲がりません。
すなわち、材質に金を採用し大きめのペン先であるために独特の柔らかさを実現しているといえそうです。
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実際に比較してみよう

ペン先とペン芯の形状が書き味、インクフローに影響するということを書きましたが、実際に典型的な他の万年筆と比較してみます。比較対象は14金のペン先をもつプラチナの#3776です。

↓ ペン先の大きさ。ペン先が大きければ湾曲率は相対的に低くなるために書き味は柔らかくなると考えられます。#3776より一回り以上大きいですね。
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↓この蛇腹の圧倒的な存在感。たくさんのインクをリザーブできそうです。ペン芯の蛇腹はペン軸の中まであるので見た目より大きな部品です。
縮小-WP_20160526_23_06_25_Proトリミング

ペリカンの蛇腹の大きさはフローをよくするという機能上の特徴だけでなく、風格を醸し出すデザイン上の効果もあるように見えます。

PS. 2016/06/05 追記
記事をFacebookで公開したところ、次のようなブログ記事があることをお知らせいただきました。本記事ではM800 = M805 を想定して記述していますが、実際にはペン先のデザイン、書き味は微妙に異なるようです。両方お持ちの方、ぜひ書き比べてみたらいかがでしょう♪

■  ブルー・オ・ブルー と ヴァイブラント・ブルー との違い

 

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