たまたまAmazonで目にしたこのコミック。めちゃくちゃツボにはまりました。
江戸時代の大坂・新町遊郭で活躍する天神女郎・和泉と禿のささらの活躍がおもしろい。
江戸時代の遊郭モノのというとほとんどが吉原だけど大坂・新町が舞台というのもいい感じ。巻末の作者インタビューを読むと、今まで作品でほとんど取り上げられていない、公許の遊郭地の中では町人や遊女が比較的自由に行き来できたことでストーリー展開に自由度が高まるのでここを舞台にしたということでした。
遊郭モノというと貧しさのために地方から売られ、体をぼろぼろにして死んでいく「死ぬのも生きるのも地獄」というワンパターンが多いのですが、これは主人公たちがたくましくそれでいてユーモアあふれ人生を楽しんでいる感があり読んでいるこちらの方までワクワクしてくる傑作なのです。
私はこういった書籍に関するアンテナは結構高い方なのですが、こんな傑作があるなんて知りませんでした。最初に2003年にコミック誌にて発表、その後、手塚治虫文化賞まで受賞しています。
にもかかわらず今一つ地味なのはタイトルが難しくて読めないし、意味がわからないため、時代ものに関心がある人でもスルーされちゃったのではないかと思います。
まぁ、関心があっても表紙見ればわかるように、かなりハードな描写もあるので受け付けない人も多いのかもしれません。
ところで、このタイトルを「なにわどら いほん」って一発で読めた人います?
巻末の解説によると「なにわどら」は今でいうプレイガイドや旅行ガイドに匹敵する本で、遊郭での遊び方や人気投票、人気遊女紹介が載っています。
と、解説しないとわからない時点でメジャーになりきれないのだろうな、と思いました。
また、この作品で、もりもと崇氏の別作品を読みたいと思ったのですが、これ以外の作品がAmazonにでていないんですよね。まぁ、とにかくこのブログに出ているような赤線、歓楽街に関心のある方はぜひぜひ読んでみてくださいませ。